消費税率の引き上げに際して便乗値上げをする企業が見受けられます。
今回の記事のテーマは、そんな「値上げ」についてです。
中でも「絶対にやってはいけない値上げ」について解説します。
絶対にやってはいけない値上げ
絶対にやってはいけない値上げ。
それは、「人数を減らすための値上げ」です。
「施術可能人数(院のキャパ)を超えてきたため、値上げをして人数を減らす」
…といったモデルは、非常に危険なやり方ですので、絶対にやめておくべきです。
経営者思考で考える値上げ
実は経営的にも、この「人を減らすための値上げ」は、非常に危険な考え方です。
1つ事例を紹介しましょう。
Aモデル:通常パターン
- 平均施術単価5000円
- 月間平均来院数8回
- 月間患者数80人
- 合計売上320万円
Bモデル:値上げ後
- 平均施術単価10000円
- 月間平均来院数8回
- 月間患者数40人
- 合計売上320万円
それぞれ、
- 5000円×8回×80人=320万円
- 10000円×8回×40人=320万円
といった具合で、どちらも同じ320万円の売上です。
違うのは、患者さんの数、そして料金です。
- Aは80人×8回で月に640回の施術です。
- Bは40人×8回で月に320回の施術となります。
治療家のキャパ的には、Bのほうが余裕がある…という形です。
経営的に安定しているのは圧倒的にA
…では、どちらのほうが経営的に安定しているのかというと、実は圧倒的にAが安定しています。
パッと見ると、320回の施術しか必要がないBのほうが良さそうですが、Bのモデルは継続性も低く、再現性が低いモデルで、事業としては不安定であると言わざるを得ません。
仮に数人の患者さんが離脱するだけで、経営に大きな影響を及ぼしてしまうことになります。Bのモデルでは、1人の離脱がAモデルの2倍売上に響くわけですからね。
これは、治療院ビジネスのみならず、ありとあらゆる事業に当てはまることです。
治療家としての生き方・存在意義を問うべし
仮に病院を経営していたとして、病院に患者が来すぎてしまったら、どうするでしょうか。
おそらく、値上げして患者さんを減らす…なんてことはやらないでしょう。
こう考えると、代替補完医療を担う治療院が、値上げで患者の数を減らす…という考え方が、間違っていることが理解できると思います。
治療院・治療家としての理念から考えると、「より多くの人を健康に導く」という大きなテーマを忘れてはなりません。
じゃあ、患者の数が増えすぎたらどうするべきなのかというと、キャパを超えたのであればキャパを増やすことです。これ以外の解決策は存在しません。
単純に言えば、
- 施術時間を短くする
- スタッフを増やす
- 分院展開する
…といったことが基本的な施策になります。
受付スタッフを入れるだけで、1.5倍、施術スタッフを入れれば2倍以上、先生の稼働に余裕が生まれるはずです。
まとめ:値上げは価値提供ありき
値上げは、「今の値段以上の価値」を提供できるようになってはじめて実現します。
単なる患者数のコントロールのための値上げは控えるようにしましょう。
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